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「ママだからこそ」の視点で “笑顔”を紡ぐ。Oval代表・添田麻美さん

コラム

2019.12.29

「ママの笑顔」が何よりの原動力。
女性起業家の「パイオニア」として走り続ける添田麻美さんの素顔とは。

東日本大震災の翌年に出産を経験し、自身のために通っていた「ベビーマッサージ・赤ちゃんヨガ」の良さを周りの人にも伝えたいという思いから、2013年5月に郡山の自宅をサロン開業した添田麻美さん。『カラコロ ~福島の親子ふれあい教室~』のオーナーとして自身も講師を務めながら、活動の幅を徐々に広げてきました。
6年間もの個人事業主期間を経て、昨年2018年10月には『一般社団法人Oval』として法人化。より一層ママの応援に力を入れたいと日々奮闘しています。
今回はそんな福島で “ママのための” 活動を続ける彼女の、正直ないまの気持ちを伺ってきました。


 

― 現在、県中で「ママの活動」と言えば添田さんを真っ先に思い浮かべる人は多いと思いますが、そもそもなぜ出産後に「ベビマ・赤ちゃんヨガ講師」として活動をしようと思われたのですか?具体的なきっかけなどは?

添田さん:実はわたし、東日本大震災の年に結婚してその翌年に出産してるんですね。原発事故の影響や錯綜する情報や状況の中での、ママとしてのスタートだったんです。初めての育児に奮闘しつつ、不安に押しつぶされそうなわたしを救ってくれたのが、同じ境遇にあるママや赤ちゃんが集う「ベビーマッサージ教室」でした。はじめは「子どものために」と通いはじめた教室でしたが、そこでのママ達との出会いや学びは、社会から孤立した感覚を軽くしてくれたんです。

― そうだったんですね。大人でさえ生き抜くののに必死だった東日本大震災。生まれたての赤ちゃんを抱えての生活は、きっと想像できないくらい大変だったでしょうね…。
その経験から、講師として活動しようと?

添田さん:はい。通い続けるうちに、福島で生きていくなら、生きていくからこそ、同じように福島で育児に奮闘するママ達と “笑顔の育児” をしていきたい。わたしもこんな風にママ達が笑顔になれる場を作りたい、という想いが強くなって。
子どもが10ヶ月の頃に「ベビーマッサージ・赤ちゃんヨガ」の資格を取得して、1歳になったと同時に自宅教室をスタートさせました。

― 大変な思いを経験しているからこそ、笑顔で伝えたい。添田さんらしいですね。
講師という、いわゆる個人事業主として活動するにあたって、周りの反応はどうでした?家族の理解や協力はありましたか?

添田さん:はい、ありがたいことに家族からもたくさん応援してもらえて。
起業から今まで、夫の理解と協力がなければ何もできませんでしたね。講師資格の講座中にも子どもをみてもらったり何かと支えてもらったおかげで、受講に専念できました。
しかもうちは大体事後報告なんです(笑)。わたし自身、仕事や新しいチャレンジをする時に丁寧に相談するってタイプではないんですよね。それでも夫は一切反対することなく、好きに挑戦させてくれてる。これが私にとっては一番の励みなんです。思うように仕事をさせてもらっているからこそ素直に家族に感謝できるし、穏やかな自分でいられるのかもしれません。

― 好きにさせてもらっているからこその感謝。そうですよね。やっぱり働くからにはやりたいことを一生懸命やっていきたい、そう思います。
これまでご自身が「やりたい!」と思うママのための活動を続けてきて、改めて感じるとはありますか?新しい発見や気づきなど。

添田さん:そうですね。まず、思った以上にママたちが活躍の場を欲しているということ。これは世の中的にも、そして福島という地方という環境からも、ママが自由に活動したり活躍したりというイメージがまだまだ弱いからなのかとも思います。でも、ママだからこそ見える視点や感じられる微細な変化もあって、その視点って社会にとっても役立つものでもあると思うんです。一人だけだと小さいママの声も、わたしが集約して伝えれば “伝わる声” になるかもしれない。そんな手ごたえをこの活動を通して感じています。

― 20代でも40代でも何歳でもママはママで、同じように悩んだり活動の場を求めているのかもしれませんね。そんな「ママたちの声」を伝えるにあたって、感じている難しさや課題はありますか?

添田さん:まず、講師として活動をはじめた時によく使われたのが「ママ起業」「プチ起業」といった表現でした。正直それがすっごい嫌で(笑)。自分としては真剣に学んで準備をして、覚悟をもってのスタートだったのですが、世間では「主婦のちょっとしたチャレンジ」程度にしか見てもらえないのかと。世の中の “小さなお教室” ブームが重なったというのもあるとは思うのですが、私としては結構腑に落ちないところはありましたね。
でもお陰様で6年もの間めげずに活動させていただき、たくさんのママと直接触れ合っていく中で少しずつ信頼を築いて、ようやく認められてきた実感も得ています。地道にコツコツやってきたことが、やっぱり大事だったなと。

― 6年間の小さな積み重ねが、周りの反応を変えるような大きな蓄積になったということですね。
昨年の秋に法人化をしていますが、こちらはまた違った難しさなどありますか?

添田さん:あります(笑)。一般社団法人として昨年10月から活動させていただいていますが、もう、あらゆる規模が違う。大きいんですよね。仕事の規模も、求められる成果も、用意しなければならないモノ・コトも。はじめは「もっとママの声を色んな場所に届けたい」という純粋な思いで法人化に踏み切ったわけですが、思った以上の規模感に慣れるので精一杯な一年でした。正直、これまで「現場で直接」ママの声を聞けてこれたのが自分の財産だったのですが、それが今までのようにできなくなってしまったのが一番のストレスで。ママのためにとはじめたことが、結局ママに届いているのかと自問自答することが多い初年度となりました。

― 「ママのために」と純粋な思いではじめたことでも、思いがけないジレンマというか、課題が見えてきたのですね。そういった「理想と現実」のようなギャップを前に、添田さんはどう向き合っていかれてますか?

添田さん:悩みました。本当に。思い立ってこの前伊勢神宮にお参りにいったくらい(笑)。でもなんとなく悩みぬいてクリアになってというか、「もっと自分の思う道を信じていこう!」って改めて考えられるようになりました。法人だからこそできることもある中で、でもママの声を届けたいっていう根本の理念を忘れずに、来年度からは仕事の幅や内容をもっと整理して、“自分らしく”実践していこうと思っています。

― これまでやったことがないことに挑戦するって、悩むことの連続ですね。
ちなみに『Oval』としての拠点を田村市において、感じていることはありますか?これまでの活動拠点である郡山市との違いなどがあれば。

添田さん:そうですね、なんとなくの肌感覚ですが、総じて「郡山はオープン」だなと感じています。そもそもの人口が多いっていうのもあると思いますが、イベントや講座を開催する時にもママさんたちが積極的に参加してくれるので、とてもありがたいです。
田村市ではテラス石森を拠点に今年度から活動をさせていただいてるのですが、この一年は「自分たちのやっていることを知ってもらう」ということに徹した年だったなと。私は田村市船引町の出身なので正真正銘の地元なのですが、それでもここで新しいことをはじめるには「丁寧に」説明をして、「信用」を得ていかなければならないのだな、と改めて感じています。これはたぶん田村市に限ったことではなく、地方なら割とどこでも起こりうることかなとも思いますが。

― なるほど。地元出身とは言え「何をやっているのか」を伝えていくには、丁寧に対話を続けなければいけないのですね。地方ほど「人が財産」という傾向が顕著な気がします。
具体的に添田さんが田村市のみなさんから「信用」を得るためにしていることはありますか?

添田さん:はい。私は基本的に「会って話す」ということを大切にしています。やっぱり人間なので直接対面するのとそうでないのとでは、話の伝わる温度感が変わってくるんですよね。どんなに思いがあって “いいこと” をしようとしても、地元の人の理解や協力がなければ実現が難しいこともたくさんあります。そのためにも面倒くさがらず自分の足で歩いて、お話をするっていうことがまずは一番大切かと。

― 足で稼ぐ…。これまでの添田さんの活動でもそうですが「対面で」やり取りをするって、やっぱり大事なんですね。直接会って話すから伝わる “人となり” みたいなものがある気がします。
田村市出身の添田さんから、「田村市で新しいことにチャレンジしたい」という人に向けて、何かアドバイスはありますか?「こんなことが足りてない」「こんなモノ・コトがあったらいい」など。

添田さん:この一年、田村市で起業して感じたことは「地元の人や事業者さんの温かさ」です。困ったときには快く知恵や力を貸していただけたり、「人と人が繋がることで広がる可能性」みたいなものを実感することが多くありました。
田村で新しいことにチャレンジするなら、地域の人や事業者さんとの繋がりを構築していく過程も楽しみながら、自分のやりたいことを成長させていけると良いのではないかと思います。
そのためにも田村に求めるのは「人と人との緩やかな繋がりをつくるための機会」でしょうか。地元の人、移住してくる人関わらずオープンに関わり合える場や機会が増えると、より良いかなと思います。

― 「人が財産」なだけに、どう人と人が繋がっていくかも大事ということですね。
添田さんご自身、
これからこれから新たにチャレンジしていきたいことはありますか?

添田さん:実は、いま力を入れているのが今年2019年の8月にローンチした『ママの防災プロジェクト』なんです。わたし自身やママたちが東日本大震災で感じた不安な気持ちや経験を「防災」に役立てたい。そんな思いからプロジェクトとしての発足にいたりました。
今年は防災の専門家の方にお話を聞いたり、簡単にできる非常食をつくるワークショップなど、防災に対してポジティブに楽しく学べる場づくりを実践してきました。福島のママたちが経験したこと、していることは、全国や世界のママたちにとっても必要な情報だと感じています。大変さを知っている私たちだからこそ伝えられることがあると思うので、ぜひ気になる方は遠慮なく参加してほしいなと思いっています!

― 「ママの防災PROJECT」、素敵ですね!確かに福島だから見えること、ママだから分かること、たくさんありますよね。今年は10月の台風19号の被害など、災害対策の大切さを改める感じる年にもなりました。
最後に、色々な苦労がありながらも活動を続けていられる、添田さんの「やりがい」を教えていただけますか?

添田さん:やっぱり「ママの笑顔」を見た時ですね。Oval前身のカラコロ時代から、活動の根っこにあったのは「ママたちを応援したい」という思いだったので。
自分も出産して母となり、その大変さを実際に感じてきたからこそ分かり合える苦労や喜びがあるんです。
それまで「自分の子育てはこれでいいんだろうか」とか「自分ってママとして大丈夫なのか」とか、一人で悶々として悩んだりしていたんですが、ベビマや赤ちゃんヨガの時間がふっと自分を癒してくれたように、同じ思いや悩みを抱えているママさんたちにも「大丈夫だよ」って、少しでもこの癒しの時間を提供できたらなって思っています。これが今も昔も変わらない、わたしの純粋なモチベーションですね。


終始、明るい笑顔をはつらつとお話をしてくれた添田さん。
パワフルに活動する彼女から受ける印象は「ママさん起業家」でも「プチ起業家」でもなく、本気でママたちを思う「社会起業家」としての顔のように見えました。
まだまだ「女性」や「ママ」の活躍の幅が限られている地方ですが、添田さんのような前向きな存在があるおかげで、これからの地方もきっと「やりたいことで活躍できる」場所に変わっていくのだと思います。
自分の足で信頼を築き、パイオニアとして道を切り拓いていってくれている添田さんをこれからも応援し続けたい、そう思える時間でした。

一般社団法人Oval
所在地:〒963-4313
福島県田村市船引町石森字舘108番地
設立日:2019年04月01日

インタビュアー:佐藤美郷