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カタチのないものこそ未来をつくる。 AP sports代表・浜田寿満さん

コラム

2020.02.13

ケンカも怪我も大人になるための大切な経験。
AP Sports Club浜田さんの、自由なトレーニングの発想の源とは。

2018年にAll Performance Sports Club(以下:AP sports)として子どもの運動神経向上を目的としたスポーツクラブを設立された浜田寿満(はまだ ひさかず)さん 。ご自身も子供の頃からスポーツに親しみ、大学時代は野球部に所属。1年次からレギュラーになるほどの活躍ぶりを見せていた最中、肉離れをきっかけに野球生活の断念を余儀なくされます。この経験から「柔道整復師」を目指し、2011年4月に田村市船引町で接骨院を開業。スポーツに励む地元の学生からご高齢の方まで、幅広い支持を得てきました。そんな「街の接骨院」として地域に根付きはじめた今、なぜあえて “All Performance” としてスポーツクラブを新設されたのでしょうか。その想いを伺ってきました。


 

― まず “そもそも” になるかと思うのですが、接骨院をされている中、なぜもう一店舗、しかも「スポーツクラブ」を設立しようと思われたのですか?

浜田さん:はい。2011年の4月に接骨院を同じく田村にオープンしまして、それから約9年ですかね、お陰さまで地元の学生やおじいちゃん、おばあちゃんにも利用していただき、受け入れてもらっている感触もつかめてきました。
AP sportsは2018年に開業したばかりで、今でようやく1年半です。そもそもスポーツクラブをしたいと思うに至った背景には、田村市主催の『人材育成塾』が大きく影響しています。ここに通うことで、それまでの単に「スポーツに関わっていたい」というモチベーションから一歩抜けて、「スポーツで何に貢献できるか」という想いに変化していった気がします。

― なるほど。「スポーツに関わりたい」という想いが別のステージに進んだ、ということでしょうか。人材育成塾にはどのくらいの期間通われたのですか?

浜田さん:私は二期生として参加したので、2017年の7月から翌2018年2月まで、約7が月通いました。その期間に講師の方々やメンターから色々と学び、自分でも「スポーツにできることって何か」を真剣に考えることができたと思っています。その後、塾を修了した同年の10月にAP sportsとして開業しました。

― 2月に修了して10月に開業だと…およそ8ヵ月後にオープンということになりますよね。だいぶスピーディーですね。その7ヵ月の熟考の期間に至ったのが「スポーツクラブ新設」ということですが、AP sportsは主に「子どもの運動神経向上」を大きく掲げていますよね。これにはどんな理由が?

浜田さん:実は福島県の肥満時の割合は、東日本大震災後に一気に上がったんです。これは原発の影響で外遊びが制限されてしまったことなどが大きな要因と言われています。田村市も例外ではなく、外で遊んでいる子供の姿を見る機会はより一層減ってきています。でも一方で、人の運動能力の基本を育てる、いわゆる「ゴールデンエイジ期」は3歳~15歳くらいまでと言われているんですよね。まさに外遊びができる年齢。この時期になんとか「体の使い方」を覚えてもらえば、その後の運動能力にも良い形で影響するのではないかと。そんな想いが根本にあって「子供の運動神経向上」としてスポーツクラブをさせてもらっています。
塾を修了してすぐ開業したのにも理由があって、やっぱり子供の成長ってあっという間じゃないですか。子供は待ってくれないので、今いる子たちに少しでも良い環境を整えてあげたいなと。

― そうですね…何かと大人目線で考えてしまいがちですが、子供は待ってくれない。本当にその通りだと思います。運動神経も語学と同じで「子供の頃の記憶」が大切ということでしょうか。
クラブでは具体的にどのようなプログラムを提供しているのですか?

浜田さん:AP sportsではいくつかのコースがあるのですが、その中でも「sportsコース」では主に小学生を対象にしています。 遊び、つまり “PLAY”の中で体の使い方を覚えることを主眼に、一見すると普通の遊びに見える中に、運動神経を刺激するようなトレーニング要素を取り入れているんです。例えば、風船をポンポンさせながらジャンケンをして、かつそれを決まったライン上だけを踏みながら行うというPLAY。この動きでは、脳と筋肉と神経とを同時に鍛えることができます。これによって頭だけでも体だけでもない「総合的な」体の使い方を無意識に身につけることができるんです。何も知らないで見ていると本当に遊んでいるだけのようなので、はじめは驚かれるんですけどね(笑)。

― 「スポーツクラブ」と聞くと、私たちの世代ではスポーツ少年団、いわゆる「スポ少」などの本格的な運動クラブをイメージしがちですが、AP sportsはそこがちょっと違う、というか新しいんですね。遊びながらなら、運動嫌いの私でもできたかも…。
あと気になったのが、sportsコースの他に「moralコース」というのも設定されていますよね?ウェブを拝見すると「ディベートトレーニング」や「コミュニケーション力」など、スポーツクラブからはイメージしづらい言葉が並んでいますが、これはどういったプロブラムですか?

浜田さん:そうですよね、ちょっとびっくりしますよね(笑)。これはマインド醸成というか、「学校以外の居場所」を提供したいなと思って用意したコースなんです。私も3児の父親なので感じることなのですが、今の教育って特に「失敗」させないんですよね。予め大人が全部お膳立てして、傷つかないように、間違わないように…そんな傾向が自分たちが子供だった時代よりも、一層強まっている気がします。でも社会に出たら傷つくことだらけじゃないですか(笑)。子供時代のケンカとかちょっとした仲間外れとか、怪我とか、それって実は大人になるための大事な経験だったりする。そんな体験をこの「moralコース」という小さなコミュニティの中で得てもらえたらと思っています。

― つまり「ディベート」や「コミュニケーション力育成」のプログラムから、人間としての生きる素地、 “心のたくましさ” みたいなものを学ぶ、ということでしょうか。確かに今の子どもを見てると、大変そうだなあ、と思います。インターネット・ネイティブ世代で、調べれば何でも分かってしまう。分かりすぎてしまうことがかえって “生きづらさ” を生んでるんじゃないかな、なんて思ったりもします。

浜田さん:そうなんですよ。田村市の小中学校も少子化の影響でいくつかの学校が合併して、逆にマンモス校化しているところもある。田村市のある小学校では、不登校の子どもがクラスに2人はいるそうです。学年だと10人くらいになるんじゃないかな。しかももっと深刻なのが、学校へ行きたくない理由の多くが「つまらないから」ということ。これってすごくないですか?いじめに遭ってるのでも、勉強ができないからとかでもなく「つまらないから」。家でも学べる環境が用意できる時代なので、選択肢はそれぞれあって良いと思いますが、この「無気力」感には結構危機感を感じています。

― やりたいことがない…ひと昔前の就活前の大学生が言っていたような言葉を、今や小学生が語る時代になっているとは。そうった意味でも「moralコース」の存在意義というのは出てくるんですかね。

浜田さん:そう思っています。学校じゃなくてもいい、でも家とも違う「第三の場所」って、社会生活を営む上で必須なんじゃないかなって。私もこのAP sportsでは、子供と言えど「ひとりの友達」して接することを心がけています。上から言っても逆に下手に出過ぎでも、子供って心を開いてくれないんですよね。フラットに接することで、学校でも家でも言えないようなことを楽しそうに喋ってくれる子も多くて。それが私としてはすっごく嬉しいんです。

― 子供が思い切り楽しめる場って、今は貴重なものになってしまったんですかね。他にAP sportsでの子供たちや、接骨院に通う中高生たちと触れ合う中で、何か感じることはありますか?もしくは「こんな風に育って欲しい」などがあれば。

浜田さん:そうですね。地元の高校生に話を聞いている中で驚いたのが、将来の夢が「公務員」と答える子が多いことですかね。接骨院に通ってメンテナンスするくらいなんで、結構センスのある子が多いんですよ。それにも関わらず「いや、スポーツやってても食べてけないんで、辞めます」って。きっぱりと。これって多分、少なからず親からの影響があるのではと思っています。「安定した仕事=公務員」という親世代の常識が、子供にも無意識のうちに宿ってしまってる。もう少し夢見たっていいと思うんですよね。さっきの「つまらない」っていう不登校の話にも通じますが、全体的に子どもたちの行き過ぎた現実主義に驚くことが多くあります。

― その話は、よく分かります。私も田舎出身なので、よく「学校の先生か市役所勤めをしなさい」と言われてました。でも今はもっと「働く」ことの選択肢も増えていますよね。そんな中でも未だに「公務員」が良しとされているマインドって、どこから生まれるのでしょうか?

浜田さん:多分ですが、「知らない」というのが大きいんじゃないかと思っています。公務員や学校の先生は、田舎や都会に関わらず誰もが触れる職業じゃないですか。でもそれ以外の仕事って、田舎になればなるほど少なくなってくる。見たことのないことって想像しにくいですよね。でも「親が知らない」ってことで子どもの可能性を狭めちゃうのも、悲しい。だから「こうゆう道もあっていいんじゃない?やってみなよ」って背中を押してあげられる存在として、AP sportsがあれたらとも思っています。

― すごいですね。「子どものスポーツクラブ」から「夢を後押しする存在」まで、本当に幅広いミッションを掲げてらっしゃる。でもその包括的 、“ホリスティック”な存在であってはじめて、“子どもの能力向上”ってうたえるのかもしれませんね。
最後に、これから田村市で頑張っていきたい!と思っている人に、メッセージをお願いできますか。

浜田さん:そうですね。まず「飛び込んでみること」でしょうか。何事も考えているだけでは始まらないし、思い切ってやってみて、そこで分かることってたくさんあると思います。私だって未だに走りながら、“カタチのないこと” を事業を通してやろうとしているわけで。色んな壁にぶち当たって悩むこともあるかもしれませんが、必ず応援してくれる人も増えてきます。なので、まずは思い切って始めてみること、ですね。同時に、「やりたい」という人を応援する環境が、田村市にもっと根付いて欲しいという想いもあります。街も人も「変わろう」と思っていることは確かなので、一人一人が街に住む当事者として参加してもらえれば、もっと良い場所になるんじゃないかなと。


「カタチのないことをやろうとしている」。これが浜田さんのチャレンジを端的に表している言葉かもしれません。柔道整復師としての役割、子どもの運動神経を向上させるプログラムの提供、心の成長を見守る「第三の居場所」づくり…。私たちがイメージする「スポーツクラブ」の域を超えた事業を、浜田さんは生み出そうとしています。そんな「新しい価値」を創りだそうとしている彼の姿は、まさに“パイオニア” ではないでしょうか。答えのない事業に挑戦をして、悩みながらも前に進み続ける浜田さんの姿勢こそが、田村市の子どもたちにとって何よりの「道しるべ」なのかもしれません。

All Performance Sports Club
住所:福島県田村市船引町東部台4-281
TEL:0247-61-7750
営業時間:8時~19時
定休日:日・祝
Instagramはこちら
※今回ご紹介したプログラム以外にも、本格的なパフォーマンスアップのための「アスリートコース」や、産後の骨盤矯正などの「コンディショニングコース」もあります。詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください。

インタビュアー:佐藤美郷