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成長のカギは「ここで何をしたいか」を真剣に考えること。プランツ・ラボラトリー㈱ 研究員・臼井真由美さん

コラム

2020.02.25

独自のシステム開発で農業を新たなステージへ。
プランツ・ラボラトリー㈱と研究員・臼井さんの挑戦。

みなさんは「植物工場」と聞いて、何を思い浮かべますか?
土を必要とせず、LEDなど必要な光を照射して植物を栽培する「植物工場」は、屋内などの限られた面積でも活用できると注目を集めています。
今回お話を伺うのは、臼井 真由美さん(うすい まゆみさん)。「植物工場」の開発・販売を行う会社『プランツ・ラボラトリー株式会社』で研究員として働かれています。
植物工場って、どんなもの?なぜ田村市で…?という素朴な疑問と期待を胸に、インタビューしてきました。


 

― まず、『プランツ・ラボラトリー㈱』という会社について伺えますか?ざっくりと「植物工場」をつくっている会社、とだけ認識しているのですが…?

臼井さん:そうですね。私たち『プランツ・ラボラトリー㈱』は2014年に東京で設立したばかりの若い会社です。いわゆるベンチャー企業ですね。「植物工場」と言ってしまうと、よくメカニックな工場で人工的な野菜を作っている、というネガティブなイメージを持たれる方も多いのですが、私たちの開発している工場は、そういった “重々しい” イメージの工場とは異なります。施設のつくりがとてもシンプルで、基本的に「パイプ」と「ビニール」でできているので、一見すると大きなテントみたいなんですよ。

― パイプとビニール、ですか。そう聞くと確かに「工場」って感じではないですよね。もっとカジュアルで親しみやすい感じがします。それが御社の特徴ということでしょうか?

臼井さん:はい。実はこれまで日本でも様々な「植物工場」がつくられてきたんです。やっぱり土を使わずに出来るというのが最大の利点で、東京などのオフィス街でも実践されてきました。でも従来の植物工場って、設備投資がとてつもなくかかるんです。そしてそのコストがそのまま育てた野菜に乗っかってしまって、極端な話、100円で買えるはずのレタスが400円になっちゃったりしてたんですよ。この悪循環を解決できずに倒産していった会社が、実はたくさんあるんです。

― そうだったんですね。だからプランツ・ラボラトリーではその設備にかかるコストを抑えようと。その結果が「パイプ」と「ビニール」ということですね。

臼井さん:そうなんです。この資材を使うことで、従来の一般的な「植物工場」の設備投資の半分、もしくは三分の一にまでコストを抑えることができました。でもだからと言って、うちで開発してるのはただの「テント」じゃないんです。内部に特殊な「遮熱材」を使用することによって外からの熱をカットし、それによって室内を適度な湿度と温度にコントロールできる、いわば「省エネ型」の屋内農場システムなんです。

― 省エネ型…ということは、設備にかかるコストだけでなく、その後の運転コストも抑えらえる、ということですか?

臼井さん:その通りです。他社が提供している屋内農場の多くが「断熱材」を使用しているのですが、断熱材は内側に熱を閉じ込めやすいんです。そのため温度調節のためのエアコンの消費量が上がって、結果としてラニングコストも上がってしまう。一方で私たちの使用している「遮熱材」は外からの熱をカットしてくれるので、屋内が暑くなりすぎるということがありません。また、基本的にパイプとビニールとで組み立てるので、その土地の地形や気候条件によって形を変えることができるのも利点です。
積雪のある田村市では、雪が落ちるように傾斜をつけた屋根で設計してあるんですよ。東京大学と共同開発したこのシステムは、「PUTFARM」として特許も出願中です。

― なるほど。つまり、御社はこれまでの「植物工場」の常識を変える、新しいシステムを提供しているということですね。
臼井さんはその中でどのようなお仕事をされているんですか?

臼井さん:私は去年の2019年5月から田村市へ配属になって、主にPUTFARM内で栽培する植物の研究や管理を行っています。現在は「いちご」に力を入れて水耕栽培を行っているのですが、そのいちごをどうすれば安定的に供給できるか、どうしたらもっと大きな粒に育てられるかなど、試行錯誤しながら取り組んでいます。

― いちご、ですか!なんだか可愛い…より親しみを感じますね。
そもそも臼井さんご自身は、なぜ「植物」と関わることに?

臼井さん:その発端をたどると、中学生の頃までさかのぼることになります(笑)。実はちょうどその頃「京都議定書」に関するニュースが多かった時期なんです。その内容を知った当時の私は、なぜだか漠然と「地球がこわれちゃう」という危機感と「なんとかして守らなきゃ」という使命感に駆られてしまって(笑)。その時はパティシエにも憧れてたんですけど、「よりたくさんの人を幸せにできるのはどっちだろう」って考えた結果、環境問題の方を取ったんです。

― 中学生にしてその使命感と決断力はすごい。たしかに、環境問題を解決すれば地球人類規模で救えることになりますね…。
では「環境問題」がきっかけで、自然や植物の道へ進まれた、と。

臼井さん:はい。大学では農学部に進学して、主に環境問題について学んでいました。でも環境問題って、知れば知るほどネガティブな情報で溢れているんです。なんか、社会に対して希望が見えなくなる、というか(笑)。その当時の私自身が人と関わるよりも自分の世界に浸る方が好きだったので、余計にそう感じたのかもしれません。でも、大学2年の時に入ったインカレサークルがきっかけで、考え方がガラッと変わりました。「人と関わるって楽しいな」って。それまでは就職先も「山の上で働こうかな」なんて思っていたのですが、もっと人と接する仕事をしてみようということで、普通に就職活動をして、大学の技術職に内定をもらいました。

― それまでの一番が「自分の世界」だったのが、「人と接するのが楽しい」というマインドに切り替わったんですね。それが就職先にまで影響したとは…まさに転機です。
プランツ・ラボラトリーが初めての就職先ではなかったんですね。

臼井さん:そうなんです。しかもその後に、今度はもっと「社会」とつながる仕事がしたいと、京都にあるドローン会社に一度転職しています。そこでは開発部門での採用だったのですが、私自身はドローンに関するIT関連の経験もなく、文字通りゼロからのスタートでした。それまでは環境や植物分野の専門家だったけれど、ドローンでは何も知らない素人になったわけです。はじめはたくさん怒られましたが、でもこの経験で「立場が変わると見られ方も、自分自身の考え方さえも変わる」ということを学びました。
大事なのは「どう評価されるか」よりも「自分がどこにいて、何かしたくて、どうなりたいか」、そのことをきちんと “考える” ことなんじゃないかなって。

― 自分がどこにいて、何をしたくて、どうしたいか…。私たちってどうしても「他人からどう見られるか」や、肩書きなどに囚われがちですが、本当に大切にしなきゃいけないのは “自分はどうしたいか” ですよね。
ドローン販売店のあとに、現在のプランツ・ラボラトリーに入社されたということですね。田村市に来て1年近く経った今、改めて田村市をどんな地域だと感じていますか?

臼井さん:田村市はとても好きです。生活に不便は感じませんし、県内でもほぼ真ん中に位置しているので、色んなところへのアクセスが良くて満足しています。あと、都会と違って「人から来るストレス」がぐっと少ないのも魅力的だなと。人が多すぎで疲れたり、誰かと比較して焦ったりすることがない分、いい意味でじっくりと “自分自身に向き合える” 気がします。田村の方は気さくで話していて楽しい方が多いですし、何より「農業リテラシー」が高い。うちでも地元のアルバイトさんを雇用しているのですが、作物の育て方の基本的な知識というか感覚というか、そのあたりが都会の人間よりずっと優れているんですよね。

― 「農業リテラシー」が高いというのは新鮮な視点ですね。やっぱり住んでいる環境は少なからず影響してくるのでしょうか。私も田舎の出なので、なんだか少し誇らしく感じます。
では最後になりますが、プランツ・ラボラトリーとして今後目指していることと、臼井さんご自身の挑戦していきたいことについて教えてもらえますか?

臼井さん:まず、会社としては「誰でも、簡単に」農業ができるような設備として『PUTFARM』をより多くの方に活用してもらいたいと思っています。農業用資材を使用した設備なので農地でも建設することが可能ですし、一度立ててしまえば気候条件に関わらず安定した収穫を得ることが可能となります。特に東日本大震災後の放射線量による風評被害が払しょくしきれてない福島県において、PUTFARMの提供できるメリットは多くあるのではと考えています。
私の個人的な挑戦ですが…実は現状、色々と満足しているんですよね(笑)。たくさん挑戦をしてきてやり切って、今の生活も楽しんでいますし。でも将来的には今まで学んだ知識を人のために役立てたいと思っています。もともと環境問題の解決がモチベーションにあるので、ここで学んでいる農地活用の知識と前職でのドローンの知識を併せて、「環境再生」に関わる仕事ができればな、とも考えています。


臼井さんとお話をして終始印象的だったのは、その飾らない “ナチュラルさ”。
住んでいる場所や所属している組織に関わらず、「自分がどこにいて、何かしたくて、どうなりたいか」を真剣に考えてきたからこそ、「現状に満足している」という言葉が自然と出てくるのかもしれません。
「地方だからこそ」の強みを活かした事業展開しているプランツ・ラボラトリー㈱と、田村での環境を楽しみながら仕事に取り組まれている臼井さん。彼らが「植物工場」を通して実現しようとしている“新しい農業”と田村の可能性に、期待が高まるインタビューとなりました。

プランツラボラトリー株式会社
本 社
〒107-0062 東京都港区南青山1-5-12
お問い合せ:03-6432-9133
福島イノベーションセンター
〒963-4313 福島県田村市船引町石森字舘108番地(テラス石森)

インタビュアー:佐藤美郷