“自然の宝庫”田村を知るには田村森林組合へ行け!
コラム
2019.11.14


森林組合って、なに?
「森林組合」という組織をみなさんはご存知でしょうか?日本の国土の約7割が森林で、さらにその中の7割が個人所有の私有林と言われています。
森林組合とは、その私有林のオーナーで構成される協同組合のこと。農業だと”農協”、漁業だと”漁協”というと少しイメージしやすいでしょうか。
他の過疎地域と同様「空き家あり過ぎ問題」を抱える田村市。リノベーションなど空き家活用の手法が注目される中、地域資源を利用しながら物件を再生させるヒントを探るため、田村森林組合にお邪魔してきました。
森が守ってきた自然のバランス
今回お話を伺ったのは田村森林組合の管野さん。森林は昔から自然のバランスを保つ役割を担ってきたと話します。
しかし消費者と生産者をつなぐサプライチェーンが細切れになってしまった近代、その森の恩恵を感じられる機会もぐっと減ってしまいました。
例えば森林と密接な関係にある「田んぼ」。全国の田んぼの総面積の貯水力は日本中の治水ダムの約3倍以上もあると言われています。しかしその田んぼも後継者不足などにより耕作放棄地が増え、せっかくの治水力も衰えてきているのが現実。水を多く蓄える森林に対し、その水を受け止めてくれる田んぼが減少していることが昨今の豪雨被害の一因という見解もあるようです。
「人間は傷ができても声を上げられる。だけど山はそうはいかない。しかも悲鳴を人間が感じた時にはもう手遅れなんだ」と、管野さんは言います。
田村が誇るブランド “田村杉”
田村産の杉が全国的にも高く評価されているということをご存知でしょうか。
市の土地面積の約50%が森林に覆われている田村市にとって、林業は大切な産業のひとつ。阿武隈山系と周辺の小さな山々がつくる地形、年間を通しての適切な降水量が良質な杉が育つ条件を与えてくれています。
ニオイ移りが少ない杉の木は、昔から食器に使われたり日本酒の仕込み桶などに使われ重宝されてきました。その中でも田村杉は特に高品質な木材として扱われてきたのです。
田村の森は可能性の宝庫!
お宅でも山から水をひき、日常生活で活用しているという管野さん。自分たちで食べる分だけを田んぼや畑で耕作できれば、ある程度の食糧はまかなえると言います。しかも森林資源ときれいな水が豊富な田村は、“ものづくり”を生業とする人たちにとって最高の環境。ここではいわゆるネクタイを締めて机に向かってだけいるだけの仕事はないかもしれませんが、その代わり「自分で仕事をつくれる人」にとっては可能性に満ちたフィールドを与えてくれます。自然と向き合うことは、一周回って一番新しく、最先端の知識が必要な分野なのです。
田村の森について知りたい方、建築資材をお探しの方、ぜひ田村森林組合へ一度足を運んで田村の自然と可能性について体感してみてください。
ライター:佐藤美郷